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河川水位を予測し、水害被害を防ぐ!スペクティの革新的な技術開発に迫りました

「"危機"を可視化する」をミッションに掲げるスペクティでは、AIリアルタイム危機管理サービス「Spectee Pro」を提供するほかに、日々新しい技術の開発や研究に積極的に挑戦しています!

今回は気候変動により増加する豪雨災害の被害を減らすべく、
「河川水位の予測技術」の開発に携わるメンバーに、現在の開発状況や今後の展望について話を聞きました!


【話を聞いた人】

左から、原・山﨑・加藤・峯田・大野

原裕介(はらゆうすけ)
京都大学大学院数理工学専攻修士課程修了。
IT系ベンチャー企業にて、バックオフィスシステムの大手担当営業に従事。
2021年11月にスペクティにジョインし、研究開発分野の協力会社窓口と先進防災技術開発室のプロダクトオーナーを担当している。

山﨑健一(やまざきけんいち)
東京大学大学院工学系研究科社会基盤学専攻修士課程修了。
大手建設コンサルタント会社で河川計画(治水)の業務に技術者として5年従事。2023年9月にスペクティにジョイン。

加藤奈々(かとうなな)
東京工業大学大学院数学専攻修士課程修了。日本アクチュアリー会正会員。
損害保険業界にて、確率・統計等の数理的手法を用いた事故・災害の発生頻度・損害率等の分析や将来予測等、リスクモデリングを幅広く経験。
その後、人工知能(AI)を用いた災害予測技術を開発する米シリコンバレー発のスタートアップ企業にて、シニア・データサイエンティストとしてモデル開発に従事。2023年8月よりスペクティにジョイン。

峯田陽生(みねだはるき)
宮崎大学大学院工学研究科工学専攻工学研究科環境コース修了。
河川流域のモデルを用いて、気候変動や人為的要因が河川環境に与える影響を可視化する研究等行う。スペクティでの1年間の学生インターンを経て、2023年4月に新卒でジョイン。

大野英(おおのあきら)
東京理科大学大学院工学研究科電気工学専攻修了。大手メーカーで画像認識系システム開発などに10年従事し退社。スタートアップを数社経験した後、2020年10月、スペクティにジョイン。現在は先進防災技術開発室のマネージャー及びエンジニアチームの組織開発・採用に従事。

スペクティが開発を進める河川水位予測とは

Q.河川予測サービスについて教えてください

原:
自治体では、避難指示を出すときに、「この河川がこの水位に達したら避難指示を出す」というような基準が、あらかじめ決められています。そうした中で、なぜ予測が必要かというと、その基準に達した後にさらに上昇する見込みがあるのかないのかで判断が変わるんですね。 先が見えない場合、感覚で判断せざるを得ないという状況があるので、そこをシステムで埋めたいと思っています。

Q.他社との違いやスペクティの強みはなんですか?

加藤:
国が提供する水位予測情報の対象は、現状では大きな河川に限られますが、豪雨の際にまず危険になりやすいのは中小河川です。なので、我々は国が現状予測を行っていない中小河川に注目して、水位の予測をしようと取り組んでいます。予測手法には、さまざまなアプローチがありますが、いわゆる物理モデルと呼ばれる地形やダム等の詳細な情報を用いたモデルは計算コストがかかり、また発災時の刻一刻と変わっていく状況を表現することにあまり向いていません。スペクティでは、発災時にスピーディに情報を伝えることを念頭に、強みであるリアルタイムデータに焦点をあてて、気象データや細かく更新される水位のデータなどを取り込んでいます。

チーム立ち上げの苦労

Q.チーム立ち上げ時は、どんなところに苦労しましたか?

峯田:
最初は、実証実験に参加した際のプロジェクトを一人で引き継ぐところから始まりました。私が元々大学で専攻していたのは河川「環境」で、「防災」ではなかったので、試行錯誤しながら進めていくので手一杯でした。
スペクティで議論する上での課題は、それぞれの専門知識が違ったため、整合性や重要視しているポイントのすり合わせを行うことに苦労しましたね。
 
大野:
そうですね。スペクティは、「できるところからやっていきましょう」という軸で早く出すことを目指している一方で、土木的な知識を踏まえないと精度が出ない部分もあるので、そのあたりを上手くすり合わせるのが難しかったですね。

Q.ジョインしたばかり方々は、スペクティでの仕事の進め方に戸惑いはなかったですか?

加藤:
そうですね。私は2ヶ月前にジョインし、最初はモデル開発そのものに注力するものと思っていたのですが、実際にチームが取り組んでいたのは、仮のモデルで予測値をリアルタイムに出し、それを通知するシステムをまず実装することでした。システムエンジニアの経験はなかったので正直面くらいましたね。
ですが、例えば分単位で新しいデータを取り込んで予測を更新するということを全国規模で行おうと思ったら、その短い時間内に処理を行えるシステムがまず必要です。今は、こうして検証を先にやるというのはすごく大事なステップなんだなって思います。開発チームはモデル構築だけでなく、全員がシステム実装まで行います。このシステムエンジニア力がスペクティの強みだと感じています。
 
山﨑:
スペクティは目標に対して「あるものを使ってどう実現させるか」にフォーカスしていますよね。最初に河川水位予測の話を聞いたときは、物理モデルではなくAIモデルだとしても全国規模での予測は簡単ではないだろうなという先入観があったんです。でも、皆さん絶対に作ってやるという意志があって、各々の知識や経験、過去のデータからリアルタイムデータまで、持ってるものを合わせてシステムとして実現させようとしていてすごいなと思っているところです。
 
大野:
逆に、スペクティには元々土木の専門家がいたわけではないから、そういった発想ができたかもしれません。私自身、前職で研究開発部門にいた際に、 要素技術が生まれては死んでというのを常に繰り返している姿を見てきたんです。そのため、皆さんには実現可能性を検証してから進めてもらっているという経緯があります。

お客様との関係を大切にヒアリング

Q.顧客開拓についてはどのように行っているのでしょうか

原:
今まで先技室では、新しい技術を導入する上で、お客様との接点を増やすことをしてこなかったので、一から始めています。スペクティでは「Voice of Customer Meeting」というお客様の課題や機能要望を共有する場があり、まずはそこで河川についてコメントしている方をリストアップすることにしました。
ただ、営業担当が築いてきたお客様との関係性を大切にしたいと考え、いきなりアタックはせず、まずは、営業に現在の開発状況を説明して協力を依頼し、商談中に少しだけ時間をもらって課題感を探ることから行いました。やっていくうちに営業も理解してくれて、現在は、訪問にも同行して、河川水位予測や河川管理系の課題をヒアリングする時間を作ってもらえるようになりました。今後も、お客様の声を聞く時間を手厚くとっていきたいと思っています。

 大野:
最近入った山﨑さんと加藤さんはお客様との距離についてはどう感じていますか?

山﨑:
私は以前、堤防やダムの整備の計画や評価、浸水想定図の作成などの業務を、お客様である国や自治体とコミュニケーションをとって進めていました。ただ、河川整備や災害情報で安全になって欲しいのはその土地に住む人ですよね。その人たちとの距離を少しだけ遠く感じていました。実際に防災情報を得たいと考えている人の声を聞いて、積極的かつスピーディーにトライアンドエラーを重ねながら進めていきたいなと思っていました。そういうことができそうだと思って、スペクティに入ったんです。

加藤:
私も前の会社では、お客様と話す機会はあまりなかったのですが、リアルタイムの予測結果を使っていただく上での難しさは感じていました。リアルタイムの予測結果はすぐに答え合わせができてしまいますから、少し前に出した予測結果と実績が合わず、判断に使えないといった指摘もあったんですね。人の命に関わる数値なので、もちろん良いモデルを作れるように最善を尽くします。一方で、予測モデルである以上、確率的な不確実性やデータ上捉えきれない現象をゼロにすることはできません。そういった点も整理した上で、ちゃんとしたコミュニケーションがとれるようにしていきたいです。
 
大野:
何もなかった状態から予測ができるようになった時に、それに頼りすぎると、予測できなかった場合にデメリットになってしまうこともあるんですよね。何もなかったときよりも悪い状態を引き起こしてしまう可能性があるので、そこはしっかりとコミュニケーションをとって、伝えていかなくてはいけない部分ですね。

河川水位予測とスペクティの未来

Q.今後予測実現のために必要なものや、チャレンジしたいことはありますか?

加藤:
今は、一応モデルとシステムのプロトタイプができたっていうような状態だと思っています。これからもっと予測の精度を高めるために、今よりも粒度の細かい予測降雨のデータ、水系全体の情報や地形的な特性などを入れてみたり、いろいろ試しながらより良いモデルを作っていければと思っています。

山﨑:
河川水位予測は自治体だけではなくて、企業の方にも活用いただけると思っています。令和元年東日本台風の時に、新幹線が水没するということがありました。水位上昇そして河川氾濫の可能性を誰かが予測して「危険です」と伝えることができていれば、新幹線も退避できたと思うんです。このように浸水リスクがあるところで活動している人みんなに危機を可視化した予測情報を届けることで、こういった被害が二度と起きないような世界を目指したいです。
また、今後スペクティの技術が進んだ先に、水位計がないなどデータが不足する河川でも何らかの技術を開発したりして、日本全国の河川水位が全て予測できるという未来をチームで作り出したいです。
 
峯田:
例えば、地図を見てどこが危険なのかすぐに把握できたり、気候変動の影響などを加味して将来的なリスクを可視化したり、できることが増えれば、二次災害や複合災害みたいなものも防げるようになるのではと思いますね!

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