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災害大国で生まれた技術を海外へ!Specteeの新たな挑戦 2023年海外展開を振り返る

2023年も残りわずかとなりました。
この1年、Spectee(スペクティ)のnoteをお読みいただきありがとうございます!

今回は、この1年間でSpecteeが注力して進めてきた「防災技術の海外展開」についてお話していきます。
12月にはタジキスタンで開催された国連関係組織の会合にも出席

また、Specteeは2024年、東南アジア・フィリピンへの本格的なビジネス展開を開始する予定です。

まずはこの1年進めてきたフィリピンでのフィジビリティスタディや取り組みを振り返ります。


世界的に増加傾向にある自然災害

AIや最新技術を活用して「"危機"を可視化する」ことに取り組むSpecteeは、世界中のSNSや気象情報、自動車のプローブデータ、ライブカメラなどを解析し、災害や危機を迅速に収集、可視化、予測するAIリアルタイム防災・危機管理サービス『Spectee Pro』を提供しています。

近年は日本だけではなく、海外でも気候変動などにより自然災害が激甚化する傾向にあり、日本が長年にわたり培ってきた防災技術が海外からも注目を集めています。

ベルギーの災害疫学研究センター(CRED)が開発・運営する災害データベース「EM-DAT」によると、2022年発生した災害は2002 年から 2021 年の平均と比べて、「洪水」や「山火事」といった自然災害が増加していることが分かります。

出典:ベルギーの災害疫学研究センター(CRED)「2022 Disasters in Numbers」

また、CREDと国連防災機関(UNDRR)によると、2000年から2019年に起きた災害はそれ以前の20年間と比べて1.7倍に増加し、自然災害による世界の経済損失は20年間で3兆ドルに上るとみられています。

出典:災害疫学研究センター(CRED)、国連防災機関(UNDRR)「Human cost of disasters An overview of the last 20 years 2000-2019」

日本はこれまでに数多くの災害を経験し、技術の進化と発展を遂げてきました。気候変動により自然災害のリスクが高まるなか、日本の防災技術を世界に広め、知見を共有し、協力し合うことが今後より重要になると考えます。

フィリピンを進出先へ選んだ理由

こうした中、Specteeは、2022年・2023年と国際協力機構(JICA)の「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に採択され、フィリピンにサービスを展開すべく活動を進めています。

進出先にフィリピンを選んだ理由としては、
日本と同じように災害の多い国であること
若くて英語が話せるデジタルネイティブ世代が分厚いこと
などが決め手となりました。

フィリピンは、台風の通り道にあり、日本と同じ火山や活断層が多いことから地震も頻発します。2013年の台風ヨランダとボホール島地震、2020年のタール火山の噴火などが記憶に新しいところです。雪が無いこと以外は災害に関する状況は日本と非常に似ていると言っていいでしょう。

また、フィリピンでは国民の多くが英語を話すことができ、生まれたときからインターネットが普及していた若い人口が分厚く、さらにSNSの普及率が非常に高いことも、FacebookやX(旧Twitter)などを主な情報ソースとして活用する『Spectee Pro』を展開するうえで望ましいポイントでした。

(出典:populationpyramid.net)

フィリピンの災害対応の実情

では、フィリピンにおける災害対応はどのように行われているのでしょうか。

災害に対処するため、国防省長官を議長として、OCD(国防省市民防衛局)が事務局を務める、「NDRRMC (国家災害リスク軽減管理評議会)」という組織があります。
また、フィリピンの地方自治体は17のリージョン(地域)、81のプロヴィンス(州)、145のシティ(市)、1489のミュニシパル(町)、42,029のバランガイ(地区)に分かれますが、それぞれにDRRMC(災害リスク軽減管理評議会)が置かれる構造になっています。

出典:THE PHILIPPINE DISASTER RISK REDUCTION AND MANAGEMENT SYSTEM (OCD)

下記左の写真は、OCDのオペレーションセンター全景です。日本の気象庁にあたるPAGASA(フィリピン大気地球物理天文局)が得た気象データや、PHIVOLCS(火山・地震研究所)の地震観測データや火山監視カメラの映像がつなぎこまれています。

左:OCDの2022年8月5日付ツイートより、右:Spectee撮影

下記は、ルソン島南東部・アルバイ州レガスピ市のオペレーションルームの様子です。台風が上陸することが多く、「マヨン火山」という活火山を抱え、津波の被害も起きやすいことから防災への意識が非常に高く、詳細な防災タイムライン(右上写真)やハザードマップ(左上写真)が作られています。
しかし、災害時のリアルタイムの情報収集という意味では課題を抱えており、電話や無線を使っての対応が中心となっているようです。

Spectee撮影

同じくマヨン火山の麓に位置するアルバイ州のギノバタンでは、2006年の噴火の際、台風21号とあいまって死者620名、行方不明710名、倒壊家屋約9000戸という被害が出ました。

防災体制については、微振動の計測や監視カメラなどで火山活動の監視し、適宜避難勧告を出す仕組みは出来ているものの、避難指示の周知やリアルタイムでの災害状況の可視化という意味ではまだまだ整っていないようです。また、被害を防ぐために堤防を建設している横で、その災害リスクの高い場所に貧しい人々が勝手に住み着いてしまっている状況も見受けられました。

Spectee撮影

Spectee Proへの期待

さまざまな視察や意見交換を重ねる中で、フィリピンでは、Facebookの普及率が非常に高く、もはや社会インフラとして機能していることがわかりました。オペレーションセンターでは、電話の代わりにFacebookのメッセンジャーを使ったコールセンターのようなセクションがあり、事故やインフラの故障などの情報について、市民が積極的に国や自治体のアカウントにコンタクトして情報提供しています。

そういったことから、『Spectee Pro』を活用したSNS情報の取得とその他データ(気象データ・水位データ・交通情報など)との組み合わせによって「"危機"を可視化する」ことが、現場の仕事に大いに役立つであろうことを確認することができました。

日本の自治体やテレビ局を巡るツアーを開催

『Spectee Pro』への期待が高まる中、2023年11月には、実際にフィリピンの情報通信技術省や情報庁、マスメディアの方々を日本に招待し、災害対応に関する情報交換を目的としたツアーを開催しました。

今回ご協力いただいたのは、東京都江戸川区愛知県豊橋市です。

江戸川区からは、地形の特徴や、起こりうる災害リスクへの具体的な対策、災害時のSNSの情報活用、ハザードマップなどについての説明がありました。フィリピン側からは内水氾濫の対策やハザードマップの周知方法について質問があがり、訓練方法などについて有意義な意見交換が行われました。

左:ご担当者との集合写真 右:英語版江戸川区ハザードマップ

一方、豊橋市では、浅井市長にもお時間をいただき、今年6月に起きた洪水被害を含めた過去の災害からの教訓、平時から災害時の組織体制や、災害対策用ドローン、『Spectee Pro』など最新技術の活用などについてお話いただきました。
フィリピンの関係者からは、災害情報の伝達手段としての防災無線・防災ラジオの活用、また『Spectee Pro』の具体的な活用方法や導入効果についての質問が多く寄せられました。

左:市長室にて浅井市長と話す様子 右:ご担当者との集合写真

今回のツアーを通じて、日本とフィリピンの間で防災に関する情報の共有と理解が一層深まったことを大変嬉しく思います。
参加者からは、Spectee Proが実際に活用されている現場を見て、フィリピンに導入した際の具体的なイメージを持つことができたとのコメントをいただきました。

空き時間には、防災学習やお抹茶体験も!

今後について(海外事業責任者の根来より)

Specteeはスタートアップながら、グローバルな市場を強く意識しています。それは、災害大国であると同時に技術を誇る国である日本から、世界の人々を救うソリューションを展開したいと考えているからです。フィリピンを皮切りに、アジアへ、世界へとビジネスを展開していきます。

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